日本経済新聞
日本経済新聞(にほんけいざいしんぶん、題字は日本經濟新聞。英文表記:The Nikkei)は、東京都千代田区に本社を置く日本経済新聞社の発行する新聞(経済紙)であり広義の全国紙の一つ。略称は日経(にっけい)、または日経新聞。
特色
経済紙であるため、一般紙に比べて株価欄を始めとし、経済や産業関係記事の比重が高い。東京銀行と三菱銀行の合併(東京三菱銀行→現・三菱東京UFJ銀行)など、経済関係の記事で新聞協会賞を数多く受賞している。経済記事だけでなく、大学生や経済学に関心のある社会人向けの連載記事として、『経済教室』のページもある。このほか政治面・社会面も充実している。逆にスポーツ関係は、後述する競馬(中央競馬)を除いて弱い。例外的にサッカー関連をスポット的な特集記事として、一般紙よりも大きく取り上げる場合があるが、これは系列の放送局であるテレビ東京が「三菱ダイヤモンド・サッカー」を放送していたため[要出典]。地方版は経済関連を除くと弱い。芸能関連はほとんどない。社会面の4コマ漫画、読者による投稿欄(読売新聞では『気流』、朝日新聞では『声』など)もない。同社が作成する株価指数(日経平均株価)は「NIKKEI225」として世界的に認知されている。
株式市況欄は東京証券取引所・大阪証券取引所(全銘柄)だけでなく、札幌証券取引所、新潟証券取引所、名古屋証券取引所、京都証券取引所、広島証券取引所、福岡証券取引所のそれぞれ各市場だけで独自に取引されている銘柄も収録されている。(うち新潟、京都と広島は現在廃止)
日経の記事内容によって株価や業績が大きく左右されうる事も少なくないため、多くの企業では日経の取材には神経を尖らせていると言われる。そのため、企業によっては日経記者に対し度を超した懐柔工作を行うことで、提灯記事を書かせたり、不祥事をもみ消すなどの行為を行なっていると言われる[誰?]。2006年には、日本航空の社長退任を巡る騒動に日経の記者が深く関与したことなどが、週刊文春によって報道されている。
大企業の幹部社員には「読む文書は、会社の書類と日経だけ」と評される人が多いという。
また例年、面接対策などで経済・産業情勢を知ろうと就職活動を行う学生が読みはじめることが多い。
記事中の数字表記については、大手新聞社が次々とアラビア数字(1・2・3…)表記に変更されていく中で、一般記事内では年齢表記等、一部を除いて依然として漢数字(一・二・三…)表記中心としていた。また、地方紙も含む他紙では、ほとんどがアラビア数字表記のスポーツ面の記事中の数字表記も、一部を除いて現在も漢数字表記としていた。さらに、記事中のパーセント表記中の数字表記に至っては、漢数字表記は日経(グループ紙も含む)以外、他紙ではほぼ見られなくなっていたが、2009年6月1日付朝刊より、一般記事内でもアラビア数字での表記に変更した。
社会各界において、功成り名を遂げた人物の自叙伝である『私の履歴書』は、本紙の名物欄である。特に政治家の場合、(客観的な立場の人間からではなく、当事者本人による言葉であるということから)語られる内容に関しては多少割り引いて考えなければならない面もあるが、歴史上の事件の意外な内幕を述べる場合が多々あり、資料的価値も高い。
日本経済新聞特有の内容として、企業の発表する各種公告(決算公告など)が掲載されることが多かった(他の全国紙では決算公告の記載は少ない)。3月期決算の主要企業の株主総会の集中する6月下旬の紙面は、財務諸表の決算公告で数十ページの別刷り(二部紙)紙面が付録され、本紙を含め全部で100ページ近くになる場合があった。しかし、2005年2月に電子公告制度(インターネットを利用した公告方式)の導入が法律で施行されてから、原則的に自社のホームページ(ウェブサイト)にのみ掲載する企業が急激に増加したため、その別刷り紙面は過去のものとなってしまった。
経済以外でも、系列のラジオNIKKEI(旧ラジオたんぱ)が日本中央競馬会主催の中央競馬レース公式実況を請け負っている関係や、複数の協賛レース(日経賞、日経新春杯など)があることから、競馬にも一定の強みを発揮しており、競馬専門の記者がグループの放送メディアに出演し、解説を行っている。
第1テレビ欄は、他の多くの新聞が最終面に掲載しているのに対し、日経では中面掲載となっている(最終面は「文化」「私の履歴書」・連載小説など)。2009年3月まで、一部地域では地元紙に倣って、TXN系列局をNHKの次に掲載していた(北海道版でテレビ北海道の番組欄がNHKの次に掲載されていたのがその例の一つ。現在の状況は「テレビ面」の項参照)。また、TXN九州(現TVQ九州放送)が、1996年に日本の地上波テレビ局として初めて韓国連続ドラマの放送を開始した際には、福岡県向けの紙面で毎週その内容を載せるなど、TXN系列局のある地域版では当該局の番組内容紹介に力を入れている。
自社系列の販売店が少ない為、読売新聞店や朝日新聞店・毎日新聞店に委託をしている地域が多い。契約に際しては、販売店が独自の判断において契約者に物品(日用品など)を提供することを認める新聞社が多いが、日経ではこのようなことを行なわない。その代わりとして、年度がわりの4月には日経が経済用語辞典他、冊子を編集し、契約者にプレゼントするようなサービスを実施している。
定価は、1部売り(朝刊160円・夕刊70円(2010年1月より))・月ぎめ(朝夕刊セットの場合4383円)ともに他の全国紙やブロック紙より高く設定されている。
ウェブサイトはNIKKEI NETで無料(一部有料購読制あり)のニュース記事を提供していたが、2010年3月23日より「日本経済新聞電子版」(愛称:Web刊)にリニューアルした(日経では「創刊」と呼んでおり、コンテンツ収入を得るために力を入れている)。有料購読はネットのみで月4000円、本紙購読者は月ぎめ購読料にプラス1000円。無料会員登録すれば有料会員限定の記事が月20本まで読める。無料・会員非登録ユーザーが閲覧可能な記事は以前より大幅に減少した。またURLはhttp://www.nikkei.com/に移行し、nikkei.co.jp下の過去記事は全てリンク切れとなった。