外務省設置法
(平成十一年七月十六日法律第九十四号)
最終改正年月日:平成一六年四月一四日法律第二八号
第一章 総則(第一条)
第二章 外務省の設置並びに任務及び所掌事務
第一節 外務省の設置(第二条)
第二節 外務省の任務及び所掌事務(第三条・第四条)
第三章 外務省に置かれる職及び機関
第一節 特別な職(第五条)
第二節 特別の機関(第六条―第十二条)
第四章 名誉総領事及び名誉領事(第十三条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条
この法律は、外務省の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するため必要な組織を定めることを目的とする。
第二章 外務省の設置並びに任務及び所掌事務
第一節 外務省の設置
(設置)
第二条
国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に基づいて、外務省を設置する。
2 外務省の長は、外務大臣とする。
第二節 外務省の任務及び所掌事務
(任務)
第三条
外務省は、平和で安全な国際社会の維持に寄与するとともに主体的かつ積極的な取組を通じて良好な国際環境の整備を図ること並びに調和ある対外関係を維持し発展させつつ、国際社会における日本国及び日本国民の利益の増進を図ることを任務とする。
(所掌事務)
第四条
外務省は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
一 次のイからニまでに掲げる事項その他の事項に係る外交政策に関すること。
イ 日本国の安全保障
ロ 対外経済関係
ハ 経済協力
ニ 文化その他の分野における国際交流
二 日本国政府を代表して行う外国政府との交渉及び協力その他外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下同じ。)に関する政務の処理に関すること。
三 日本国政府を代表して行う国際連合その他の国際機関及び国際会議その他国際協調の枠組み(以下「国際機関等」という。)への参加並びに国際機関等との協力に関すること。
四 条約その他の国際約束の締結に関すること。
五 条約その他の国際約束及び確立された国際法規の解釈及び実施に関すること。
六 日本国政府として処理する必要のある渉外法律事項に関すること。
七 国際情勢に関する情報の収集及び分析並びに外国及び国際機関等に関する調査に関すること。
八 日本国民の海外における法律上又は経済上の利益その他の利益の保護及び増進に関すること。
九 海外における邦人の生命及び身体の保護その他の安全に関すること。
十 海外における邦人の身分関係事項に関すること。
十一 身分関係事項その他の事実について内外の公の機関が発給した文書の内外にわたる証明に関すること。
十二 旅券の発給並びに海外渡航及び海外移住に関すること。
十三 査証に関すること。
十四 本邦に在留する外国人の待遇に関する関係行政機関の事務の連絡調整に関すること。
十五 海外事情についての国内広報その他啓発のための措置及び日本事情についての海外広報その他啓発のための措置に関すること。
十六 外国における日本文化の紹介に関すること。
十七 外交文書の発受その他の外交上の通信に関すること。
十八 外交官及び領事官の派遣に関すること。
十九 外交官及び領事官の接受並びに国際機関の要員の受入れに関すること。
二十 外国の勲章又は記章の日本国民による受領に関しあっせんを行うこと並びに外国人及び外国に居住する邦人に対する栄典の授与に関し推薦及びあっせんを行うこと。
二十一 前三号に掲げるもののほか、儀典その他の外交上の儀礼に関すること。
二十二 外交史料の編さんに関すること。
二十三 外地整理事務に関すること。
二十四 政府開発援助全体に共通する方針に関する関係行政機関の行う企画の調整に関すること。
二十五 政府開発援助のうち有償の資金供与による協力に関する関係行政機関の行う企画及び立案の調整に関すること。
二十六 政府開発援助のうち技術協力に関する関係行政機関の行う企画及び立案の調整に関すること。
二十七 前各号に掲げるもののほか、対外関係事務の処理及び総括を行うこと。
二十八 政令で定める文教研修施設において所掌事務に関する研修を行うこと。
二十九 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき外務省に属させられた事務
第三章 外務省に置かれる職及び機関
第一節 特別な職
第五条
外務省に、外務審議官二人を置く。
2 外務審議官は、命を受けて、外務省の所掌事務に係る重要な政策に関する事務を総括整理する。
第二節 特別の機関
(設置)
第六条
外務省に、在外公館を置く。
2 在外公館の種類は、大使館、公使館、総領事館、領事館及び政府代表部とする。
3 前項に定めるもののほか、別に法律で定めるところにより外務省に置かれる在外公館は、日本政府在外事務所とする。
(所掌事務)
第七条
次項に定める場合を除くほか、在外公館は、外国において外務省の所掌事務を行う。
2 日本政府在外事務所の所掌事務については、日本政府在外事務所設置法(昭和二十五年法律第百五号。これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
(名称及び位置)
第八条
在外公館(第六条第二項に定めるものに限る。以下同じ。)の名称及び位置は、別に法律で定める。
2 特別の必要がある場合においては、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、前項の法律で定めるもののほか、在外公館を増置することができる。
3 既に設置されている在外公館の種類を変更する必要がある場合において、特別の事情があるときは、政令で定めるところにより、当該在外公館の種類を変更することができる。
4 特別の必要がある場合においては、大使館の一部としてその分館を置くことができる。
5 前項に定める分館の名称及び位置は、第一項の法律で定める。
(在外公館長)
第九条
在外公館に、長(以下「在外公館長」という。)を置く。
2 大使館、公使館、総領事館、領事館及び政府代表部の長は、それぞれ特命全権大使、特命全権公使、総領事、領事及び特命全権大使とする。
3 在外公館長は、外務大臣の命を受けて、在外公館の事務を統括する。
4 在外公館長に事故があり、又は在外公館長が欠けた場合においては、あらかじめ外務大臣が指定する職員が、その事務を代理する。
(領事館及び領事官)
第十条
この法律(これに基づく命令を含む。以下同じ。)及び他の法令中領事官の職務に関する規定において、「領事館」とは、法律又は政令に別段の定めがある場合を除くほか、総領事館及び領事館をいうものとする。
2 この法律及び他の法令中領事官の職務に関する規定において、「領事」又は「領事官」とは、法律又は政令に別段の定めがある場合を除くほか、領事館の長又はその事務を代理する者をいうものとする。
3 大使館若しくは第八条第四項に定めるその分館又は公使館の所在地に領事館が設置されていない場合その他特に必要がある場合には、外務大臣は、領事官の職務を、当該大使館若しくは公使館の長又はその事務を代理する者に行わせることができる。
(領事官の徴収する手数料)
第十一条
領事官(前条第三項の規定により領事官の職務を行う大使館若しくは公使館の長又はその事務を代理する者を含む。次条において同じ。)は、別に法律で定める場合を除くほか、その行う事務の処理のうち政令で定めるものに関し、当該事務に要する実費及び為替相場を勘案して政令で定める額の手数料を徴収することができる。
(手数料の免除及び減額)
第十二条
領事官は、当該在外公館若しくは第八条第四項に定める分館の所在地における特別の状況により、又は手数料を納付すべき者に特別の事情がある場合において必要があると認めるときは、外務大臣の承認を経て、前条に定める手数料を減額し、又は免除することができる。
第四章 名誉総領事及び名誉領事
第十三条
外務大臣は、外国において外務省の所掌事務の一部を遂行するため必要と認めるときは、名誉総領事又は名誉領事を任命し、これを所要の地に置くことができる。
2 名誉総領事及び名誉領事の職務その他に関し必要な事項は、外務大臣の定めるところによる。
附則
この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日から施行する。
附則 (平成一六年四月一四日法律第二八号)
この法律は、平成十六年八月一日から施行する。