小松久男教授
近・現代の中央アジア、特に帝政ロシア支配期およびソ連時代初期の中央アジア史を専門としている。 テュルク系諸語やペルシア語で書かれた中央アジア現地の史料とロシア語史料を使いながら、 ソ連解体(1991年)後の現代中央アジアも視野に収めた歴史、地域研究を目指している。具体的なテーマとしては、スーフィー教団を核とした民衆運動や都市のムスリム知識人を中心とした イスラーム改革運動(ジャディード運動)の展開、帝政期から現代に連なるイスラーム復興運動、また西シベリア出身の汎イスラーム主義者でイスラーム世界と日本とを結んだ アブデュルレシト・イブラヒム(1857-1944)の活動などがある。2006年からは研究科付属の次世代人文学開発センターに創設されたイスラーム地域研究部門で「中央ユーラシアのイスラームと政治」研究グループを運営している。
主著には『革命の中央アジア――あるジャディードの肖像』(東京大学出版会、1996年)、 編著として『中央ユーラシア史』(山川出版社、2000年)、『中央ユーラシアを知る事典』(平凡社、2005年)、Islam in olitics in Russia and Central Asia: Early Eighteenth to Late Twentieth Centuries,Kegan aul, 2001; Intellectuals in the Modern Islamic World: Transmission, Transformation, Communication, Routledge, 2006などがある。
講義では、ムスリム知識人の改革運動(ジャディード運動)をとりあげ、 演習では、中央アジア史に関連する論文の輪読およびロシア語研究書の講読を行う。ここ数年読み続けているのは、バルトリドの『トルキスタン文化史』(レニングラード、1923年)である。