大稔哲也准教授
中東社会史を専門とする。北イラクからシリアをはじめとする地域を中心に研究を進めてきたが、近年はエジプトを主な対象地域としている。「死者の街」と称され、現在百万人以上が居住する墓地区から、文字資料(文書・写本を含む)とフィールドワークにもとづいて社会史の諸問題を照射し、さらにムスリム社会における聖者崇拝や聖地参詣、都市研究、ムスリムの他界観、前近代の地域意識、ムスリムとコプト・キリスト教徒との関係などへ研究を展開している。もうひとつの領域は、現代カイロの庶民街(オールド・カイロ地区)における民俗誌研究である。それに関連して、フィールドワークに基づく現地調査を20年前後にわたり欠かさず実施してきた。
近年の論考に、”Tasawwuf as Reflected in the Ziyara Books and Cairo Cemeteries” in Le Développement du soufisme en Égypte à l’époque mamelouke, Cairo, 2006, "Cairene Cemeteries as ublic Loci in Mamluk Egypt", Mamuluk Studies review, vol.10-1, 2006. 等がある。
講義では中東社会史の諸問題を扱い、演習ではアラビア語史料を講読している。